再会から始まる両片思い〜救命士の彼は彼女の心をつかまえたい〜
搬送された患者をオペ室へ送り出し、ようやく紗衣ちゃんと後片付けをしていると再びホットラインがなり始めた。
え? と紗衣ちゃんと顔を見合わせる。

「救急隊です」

デジャブだ。また? 今日は多いな、と無言で紗衣ちゃんと項垂れた。

「20代女性、妊娠29週。出血と痛みがありますがかかりつけの病院は今オペ中で受け入れ困難とのことです。そちらでの受け入れは可能でしょうか」

「確認します」

すぐに産科の医師へ連絡を取ると今日は当直で泊まっており受け入れ可能と言われた。

「お待たせしました。受け入れ可能です。搬送をお願いします」

はぁ……。
紗衣ちゃんと急いで片付けをすると次の妊婦さんを受け入れるため外来の準備を始めた。
1日で何件も救急隊から連絡が来るのは当たり日だ。
サイレンが聞こえてきて私たちは先ほどと同じように手袋をすると扉を開け、受け入れ態勢を整えた。
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