敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~
たしかに、さっきの様子を見る限り、父はいまだに叶多くんのお父様を恨んでいる様子だった。関係ないはずの叶多くんのことも同じように。
「だけど……どんなに悪者扱いされようと、俺は美来を返すつもりなんてないから」
彼の澄んだ瞳が、まっすぐに私を見つめる。愛情深いその眼差しから、胸が痺れそうになるほどの熱い思いが伝わってきた。
「うん。私も、叶多くんとずっと一緒にいたい」
「ありがとう」
父や清十郎さんが、今どんな会話をしているのか。これからどう出るのかを想像すると怖くなる。でも、私たちは浮気や不倫をしているわけでもなく、本来なら誰に後ろ指を指される関係でもないはずだ。
どうか私たちのことはそっとしておいてほしい。
そして、どんなに時間がかかってもいいからいつの日か、彼と愛し合うことを許して。
タクシーが止まった場所は再開発の進む港区虎ノ門エリアの一角、新築と思しきタワーレジデンスの前だった。
振袖姿で動きづらい私を気遣って、先に車を降りた叶多くんが手を引いてくれる。
車外に出た私は眩しいガラスの外壁に目を細めつつ、巨大な摩天楼を見上げた。