敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~
日本に帰ってきてからはたったひとりで戦っているような気がしていたけれど、叶多くんはスペインにいながら、私を守るために奔走してくれていたのだ。
「もちろんきみの存在を口外したりしないよう、コンシェルジュにも伝えてある。俺がスペインに戻ってしまった後も、美来が安心して暮らせるように」
話している途中でエレベーターが到着し、叶多くんいわく〝アジト〟があるらしい二十階のボタンを押す。
上層階用のエレベーターなのでものの数十秒で一気に二十階へ到着した。エレベーターを降り、静かな通路を歩きながら隣の彼を見上げる。
「休暇はいつまで?」
叶多くんは任期を終えて帰国したわけはなく、あくまで一時的に日本に来ているだけ。
こうして顔を見られるのも今だけなのだと思うと心細い。
「明後日の午前中には、スペインに発つ。今日と明日は一緒にいられるよ」
「丸二日もないのね……」
思わず本音が口からこぼれてしまったが、すぐにハッとする。
彼の重荷になりたくないと思っていたはずが、いざ彼と会えたら気が緩んで欲張りになってしまったようだ。