敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~

「こんなに立派な部屋に匿ってもらうなんて、なんだか悪いわ」

 部屋の中央で立ち尽くし、一歩後ろに立っていた叶多くんを振り返る。

 歩み寄ってきた彼は後ろからふわりと私を抱きしめ、耳元に唇を近づけた。

「そんなことはいい。俺の方こそ、そばにいてやれなくてすまない。……誕生日なのに、プレゼントも用意してやれなくて」
「誕生日のこと、知ってたの?」
「ああ、美来の誕生日に合わせて結納をするのだと聞いた。だから余計に嫉妬した。このマンションのセキュリティに頼るだけでは足りない。もっと厳重に鍵をかけた檻にでも、きみを閉じ込めておかなければと思うくらいに……」
「叶多くん……」

 閉じ込めておきたい、その気持ちが溢れ出したかのように彼の腕に力がこもる。痛いくらいの抱擁が切なく、愛おしい。

 叶多くんの顔が見たい。そう思ってゆっくり体の向きを変えると、頬に手が添えられて、鋭く目を細めた彼に瞳を覗かれた。

「振袖姿もとても綺麗だが、俺のために着たわけではないと思うと複雑だ」
「そんな、今日の私はただ着せ替え人形にされただけよ」
「美来はそう思っていても、藤間の方は違ったはずだ。こんなに美しいきみを、ようやく自分のものにできると優越感を覚えたに違いない。……一瞬でもヤツにそう思わせた自分に腹が立つ」
「叶多く……んっ」

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