敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~

 そこには洋服同様、基礎化粧品やメイク道具、ヘアケア用品までハイブランドのものがそろっているため、メイクには不自由しない。

 外出の準備を済ませるとちょうどタクシーが下に到着した知らせがスマホに届く。

 マンションの建物を出たところですぐにタクシーは目に入ったが、その前に大きく深呼吸をして、新鮮な空気を思い切り胸に吸い込んだ。


 しかし、束の間の大冒険も順調とはいかなかった。クリニックがとても混んでいて、私の順番まであと一時間以上かかるというのだ。

 その間外出することは可能だと言われたので、ネットで目星をつけていたカフェはあきらめ、病院近くでコーヒーを飲める店を探すことにした。

「うーん……この辺りはファミレスやチェーン店ばかりね」

 病院から近い場所に適当なカフェがなく、スマホを片手に肩を落とした。

 外に出た瞬間はありがたみを感じた日光も、今はただただ暑くて仕方がない。

 地面のアスファルトと周囲に並ぶビルから照り返す熱も相まって、くらくらしてくる。

 コーヒーより先に日傘が欲しいくらいかも……。

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