敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~
「月のものは、ちゃんと来てらっしゃいますか?」
「生理のこと? それなら確か……」
言いかけて、はたと気づく。そういえば六月の半ばに生理が来て以降、七月は一度もなく、今月に入ってからもまだない。
これってもしかして――。
「妊娠……?」
可能性は大いにある。叶多くんの子なら授かりたいと自分で望んだんだもの。
夏バテのような症状がやけに長引いているのも、悪阻だと考えれば辻褄が合う。
「だとしたら、内科では検査ができないかもしれません。キャンセルして、産婦人科の予約を取り直した方が」
「ええ……わかったわ」
妊娠の可能性があるならなおのこと、年の近い女性である泉美さんがそばにいてくれて心強い。
彼女のアドバイス通りに産婦人科に連絡し、待ち時間は多少あるものの検査をしてもらえることになった。
少し距離があるのでタクシーを使うことにし、泉美さんとふたりで乗り込む。
タクシー特有の香りでまた少し気分が悪くなったけれど、〝叶多くんとの赤ちゃんがお腹にいるかも〟と思うと、なんとか気丈にしていられた。