敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~
「実家では泉美さんや妙さんに頼ってばかりだから、私ひとりではなにもできないと思っているんでしょう。大丈夫よ、来月には彼も帰国するんだし」
「そう、ですよね。美来様なら大丈夫ですよね」
なんとなく寂しそうな表情なのは、私が実家に戻る気がないことを察してのことだろう。
その時はそう思って深く考えなかったけれど、産婦人科を出て泉美さんと別れる直前、彼女は思いつめたような顔で私に近づいてきた。
「あの、大変失礼なことをお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「失礼なこと? なにかしら」
「その、赤ちゃんの父親って……?」
質問の意図がよくわからず、キョトンとする。
父親は叶多くんでしかあり得ないが、泉美さんはなにを気にしているんだろう。
「今、彼が日本にいないから不思議ってこと?」
「それもありますが、あの、例えば藤間様に乱暴されてできてしまった可能性は……?」
今にも泣き出しそうな顔をする泉美さんを見て、彼女がなにを心配してくれていたのかを察する。
私の話を通して清十郎さんの腹黒さをよく知っている泉美さんだから、彼に無理やり孕まされた子なのではないかと疑ってしまったに違いない。