敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~

「えっ? 清十郎さんが?」
《ああ。週末のパーティーの参加者名簿に名前があった。俺はスペイン側のゲストの調整に忙しくしていたから、気づくのが遅れたが……うかつだった》

 叶多くんの帰国を一週間後に控えた金曜の朝、まだ木曜日の夜を過ごしている疲れた様子の彼から電話があった。

 今週末の土曜の夜に、大使公邸で行われる日本とスペインの文化交流パーティーがある。そこに清十郎さんが参加すると言う情報を得て、連絡してくれたようだ。

 パーティーのテーマは『動』と『静』。

 スペイン側のゲストとして招待されているのは、フラメンコのダンサーにフラメンコギターの職人、世界的なプロリーグで活躍するサッカー選手、前衛芸術の若手アーティストなど、溢れんばかりのエネルギーで『動』を表現する一流の方たち。

 対して日本からは、和菓子業界を牽引する『道重堂(みちしげどう)』の社長、『醍醐流(だいごりゅう)香道』の家元、京都の老舗料亭『伏見(ふしみ)』の若旦那などを招き、奥ゆかしい日本の『静』の文化の魅力を伝えてもらうのだそう。

 その中に、清十郎さんの名前もあったらしい。

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