敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~

 私を想いながら、遠い異国のスペインで空を見上げる叶多くんを想像しただけで、心が温まる。

 離れていても心は繋がってるって、こういうことを言うのかもしれない。

「私は毎日マンションにいて、叶多くんに会える日を指折り数えて待ってる。もちろん仕事もするけど、それ以外は本当に、頭の中あなたのことばっかり」
《今そばにいたら、すぐに抱きしめて安心させてやれるのに》
「うん。声は聞こえるのに、遠いね」
《……好きだよ、美来》
「私も」
《切れないな……電話》
「ホントね」

 それきり私たちは黙り込むが、離れて暮らしている今、こうして沈黙を共有しているだけでも貴重だ。

 時折聞こえる彼の息遣いすら、聞き逃したくないと思う。

《仕方がない。せーの、で切るか?》
「ふふっ。それしかないね」

「せーの」だなんて、大人の男性である叶多くんが放つと違和感があって、笑ってしまう。

 けれど、そうでもしないと電話ひとつ切れない彼が、とても愛おしい。

 紳士的な大人の男性から子どもに戻ってしまうほど、私に本気で恋をしてくれているのだ。

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