敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~

《せーの……》

 やがて、意を決したように掛け声を放った叶多くん。だけど、待てど暮らせど電話は切れず、そのうちスマホから深いため息が聞こえてくる。

《なんで切らないんだよ》
「叶多くんだって」
《……これじゃ埒が明かないな》
「じゃあずっと話してる?」

 ふっと笑った彼は『それもいいか』なんて言って、私たちはまた少しおしゃべりをした。

 会話の内容なんてなんでもよくて、ただ叶多くんの声を聞いているだけで幸せだった。

 そうして五回目の『せーの』で、私たちはようやく長い通話を終えた。


 次に叶多くんから連絡があったのは、パーティーの直後。清十郎さんと少し話す機会があり、私の居場所についてそれとなく探りを入れられたらしい。

 しかし叶多くんはしらを切り通し、清十郎さんもそれ以上深く追及はしなかったそう。

 とりあえずこのマンションは今まで通り安全だろうとのことで、私もホッとした。

 週明けには妊娠初期の血液検査や子宮がん検診を済ませ、どれも問題がないとわかった。

< 131 / 220 >

この作品をシェア

pagetop