敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~

 次回の健診のときにはもう叶多くんも日本にいるし、安定期も近い。

 実家とぎくしゃくしていなければ家族にも妊娠を伝えて喜んでもらいたかったけれど、まだコンタクトを取る気にはなれない。

 家族に話す時期については、叶多くんが帰ってきてからじっくり検討するつもりだ。

 そうして平穏な日々を過ごすこと数日。とうとう叶多くんが帰国する九月一日がやってきた。

 昨夜、出発する前の叶多くんから電話があり、どうしても空港に迎えに行きたいと訴えたら、渋々許可してくれた。

 健診のときだけ外出していたことはまだ内緒にしているが、妊娠を伝えたらさすがに彼も私を責めたりしないだろう。

「これでいいかな……」

 空港に出かける前に、鏡の前で最終チェック。

 まだ暑いけれど今日から九月なのでちょっぴり秋を意識して、衿や袖がひらひらと波打つマスタード色のカットソーに落ち着いた黒のフレアスカートを合わせた。

 髪はシニヨンにまとめ、仕上げにスペインで叶多くんが買ってくれたバレッタをつけた。

 たったそれだけでにやけてしまうほど、今日の私は浮かれている。

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