敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~
ホルヘがにっこり笑ってエールをくれる。
最愛の美来に会えないのはつらいが、ホルヘを含め、こちらに来てから知り合った人々はみな一様に親切な人たちばかり。
外交官をしていてよかったと思うのは、そうした人々に出会い、笑顔に触れたときだ。
人の優しさに、国境はない。
同僚や上司からは『甘ちゃんだ』と言われることもあるが、外交官になる前からずっと胸に携えているその信念は間違っていないと、自信を持つことができるから。
「Graias.(ありがとう)」
心からのお礼を告げて、ホルヘの家を辞す。自宅までの道を歩く途中、ふと夜空を見上げて美来を想った。
「Te añoro.(あなたが恋しい)」
酔った勢いで、瞬く星に向けて恥ずかしいセリフを吐く。美来のことを考えているときの俺は、恋を覚えたての十代とそう変わらないくらい、周りが見えなくなる。
それほど彼女を愛しているし、もっと愛したいと思う。
俺の手で城後家と八束家の因縁を解決に導き、美来を幸せな花嫁にしたい。
頭上に手のひらをかざし、瞬く星のひとつを掴むようにギュッと拳を握る。
その手の中に自分たちの明るい未来があると信じて、家に着くまでの間、大切に握ったままでいた。