敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~

 パーティーは翌日の十八時からだった。開始前にざっと会場と招待者リストの最終チェックを行ってからは、いち参加者としてフロアに出る。

 参加者たちに挨拶をひと通り済ませたところで、会場の一番目立つ場所に作られたステージに、大使が登壇してスピーチする。

 日本とスペインの外交が樹立して百五十年余り。今後も互いの文化を認め合い尊敬し、さらなる友好関係を築いていくことを宣言し、乾杯の運びとなった。

 外交官はこうしたパーティーの場にパートナーを連れてきてゲストに紹介するのが一般的だが、残念ながら美来はここにいない。

 なので、結婚の予定や恋人の有無を尋ねられたときは「日本に恋人がいて、これからプロポーズする予定なんです」と答える。

 するとたいていのゲストは相好を崩して健闘を祈ってくれ、そこから和やかに会話を進めることができた。

 ゲストに挨拶をするうちに、先ほど大使がスピーチしたステージに畳が敷かれて即席の座敷ができあがった。

 司会者の紹介で、日本から招かれた香道の家元、醍醐万斎(ばんさい)先生が一礼して座敷に上がる。

 威厳と風格のある羽織袴姿に、ゲストたちから感嘆の声が漏れた。

< 150 / 220 >

この作品をシェア

pagetop