敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~

「叶多くんごめん、ちょっと待って」

 立ち止まり、バッグからスマホを出す。

 メッセージの受信が一件。しかし、差出人は父ではなかった。

【逃げ回るのもいい加減にしてさっさと居場所を教えろ。明日の朝イチで飛行機に乗らされるこっちの身にもなれ】

 苛立ちを隠そうともしない、清十郎さんからのメッセージ。

 確かに、私が逃げることで清十郎さんには迷惑をかけているけど、そんな言い方しなくたっていいじゃない。私が彼に好意の欠片も抱いていないことは彼自身わかっているのだから、放っておいてくれればいいのに……。

 私に執着するのは、紫陽花楼の経営のため?

 謝罪の言葉を打つ気にはなれなくて、スマホを睨んだままきゅっと下唇を噛む。

「もしかして、好きでもないのに結婚させられそうな相手からか?」

 私の浮かない表情から察しがついたのだろう。叶多くんが気づかわしげに問いかけてくる。

 返事をしようと顔を上げた瞬間、情けなく眉が下がってしまったのが自分でわかった。

「なんて顔だよ。……美来らしくない」

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