敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~

「困りましたね……。帰国はいつとおっしゃっていましたっけ?」
「九月一日です。昼前には日本に着くと思いますので、あなたの勝手もそれまでだ」
「そうでしたか。これは参りました。いい加減、私の負けかもしれませんね」

 薄ら笑いを浮かべながらそう言った藤間だが、とうてい本心とは思えない。相変わらず食えない男だ。

 不気味なものから目を逸らすようにして、今度こそ会場を後にする。

 扉を出たところで、ポケットに入れていたスマホが鳴った。

 画面に表示されている名は城後隆多(りゅうた)。城後都市開発で専務の役職に就いている、三歳年下の弟だ。

 今日本は深夜のはずだが、緊急の用事だろうか。

「俺だ。どうした?」

《少し情報が入ったんだ。八年前、ホテル計画が白紙になった理由》
「本当か?」

 話しながら、人気のない廊下へ移動する。こんなに早く核心に触れられるとは思わず、スマホを握る手に力が入る。

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