敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~
《ああ。世界的に評価されているスペイン人シェフ、トーレス氏が手掛けるレストランを、別の地元ホテルに取られてしまったことが最大の原因らしい。こちらが提示した契約金の情報がどこからか漏れて、地元ホテルがさらに高額で彼を雇ったのではないかという話だ》
「漏れたって、どこから?」
《わからない。それが明らかになったのが偶然八年前のパーティーの最中で、知らせを受けた父さんは八束のせいだと言い張り、八束社長は父さんのせいだと言っていたようだ》
どちらかが嘘をついているのか、それとも真相は別のところにあるのか……。
普通に考えれば後者だろう。父も八束さんも、情報を漏らしたことで得などないのだから。
「そうか……。しかし、たったひとりのシェフの存在があるかないかで、ホテル計画全体に影響するほどのことなのか?」
《トーレス氏が手掛けたレストランは世界的なガイドブックの格付けで常にふたつ星以上。予約は一年待ちだし、彼のレストランをホテルに入れることで、かなり収益を見込んでいたんだろう。それがなくなって、採算が取れなくなったんじゃないかな》