敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~

「んっ……もう、ダメ。国家公務員でしょう?」
「それ、関係あるか?」
「あるわよ。国民に奉仕するのがお仕事なんだから。こんなだらしない姿を写真に撮られてSNSに拡散されでもしたらどうするの?」
「情熱の国、スペイン帰りの外交官ということを考慮してもらえば、なんとかならないか?」
「なりません」

 人差し指でバツを作って目の前の唇に押しつけると、彼は不満そうにしながらもようやく体を離してくれる。

 ホッとしたのも束の間、耳元で「帰ったら続きな」とささやかれ、カッと顔が熱くなる。

 こんなにドキドキさせられて、赤ちゃんに悪影響じゃない……?

 そう自問しながらも、胸にあふれるのは間違いなく幸せな気持ち。

 彼が隣にいてくれれば、きっとなんだって頑張れる。すぐには両親に認められなくても、彼と共に生きる未来しか考えられない。

 つないだ手にギュッと力を籠めると、叶多くんもまたしっかり握り直してくれる。

 越えなければならないハードルはまだあるけれど、こうして触れられる距離に彼がいてくれる。目が合えば微笑んでくれる。

 それだけのことで、今は幸せた。

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