敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~

 キスを終えた後、叶多くんはギュッと私を胸に抱き寄せた。

「もう、なにも心配いらないから」
「えっ? 心配って……」
「帰国前に、お互いの父親を和解させる材料を手に入れてきた。近いうちに両家で話し合いの場を持とう。俺たちの結婚も、そこで認めさせる」

 叶多くんは自信満々だが、急展開に頭がついていかない。

 八年もの長い間いがみ合っていた父たちを和解させるって、いったいどうやって?

「この動画を見てくれ」

 叶多くんがスマホを取り出し、横向きにして私の前に掲げる。

 半信半疑ながらジッと画面に注目していると、カメラに向けて設置されたふたつの椅子に、叶多くんともうひとり、コックコート姿のスペイン人男性が座った。

「彼はトーレスさんと言って、世界的なスペイン料理のシェフだ。八年前にホテル計画が白紙になった最大の理由は、ホテルに開業する予定だった彼のレストランがオープンできなくなったことだったらしい。父たちはその責任のなすり合いを続けている」
「レストラン?」

< 179 / 220 >

この作品をシェア

pagetop