敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~
「父は城後都市開発を継げと言うけど、本当は外交官になりたいんだ。俺ひとりにできることは限られているが、だからこそ日本の中枢組織の一員になって、国同士の橋渡しに携わる仕事がしたい。少しでも多くの人が、安心して暮らせる世界になるように」
自分の中の理想をハッキリと語りつつも、お父様の反応が気がかりなのだろう。どこか迷いを断ち切れないような不安定さを、彼の揺れる瞳から感じた。
「だったら、諦めないでお父様に訴えるべきよ」
考えるより先に、そんな言葉を発していた。
高校生の小娘が、大学生相手になにを偉そうに語っているんだろう。
自分でもそう思ったけれど、親の考えによって将来の選択肢が狭まることにいつも反発心を覚えていた私は、似た境遇の彼にも夢を諦めてほしくなかった。
「いつか絶対、外交官になってみせて。叶多くんの掲げる理想は、世界中の多くの人の願いだと思うから」
「美来……」
叶多くんに向けてそう断言したあのときの私は、世間知らずで生意気で、後先考えない無鉄砲なところもあった。
けれど、今よりも自分のことを、ちゃんと信じていた。私の人生は私のためのものだと、前向きな希望に満ちていた。