敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~
ストレートに尋ねすぎだろうかと気になったものの、泉美さんは家族や友人とはまた違った、大切な存在。
婦人科系の病気なのではと心配になり、聞かずにはいられなかった。
「美来、俺は先に外に出ているよ」
叶多くんが空気を呼んで、私たちをふたりにする。
泉美さんは少しの間迷ったように視線を彷徨わせていたけれど、やがて顔を上げて私を見た。
「実は……今日は妊娠の確定診断をしてもらいに来たんです」
「えっ? 清十郎さんの?」
「はい。検査薬が陽性だったので……」
どこか頼りなげに答えたのは、きっとお腹の赤ちゃんのことが心配だからだ。
彼女は過去に、清十郎さんとの赤ちゃんを失っている。確定診断をひとりで聞くのは、きっと勇気のいることだろう。迷惑でなければそばにいてあげたい。
「泉美さんがよければ、結果が出るまでここで一緒に待ちましょうか?」
「ありがとうございます、でも――」
「その必要はない」
背後から、未だにちょっぴり苦手なあの人の声がして、ビクッと肩が震えた。
泉美さんが安心しきったような笑顔になり、「清」と彼を呼んだ。
振り向いた先には、ラフな私服姿に身を包んだ清十郎さんが飄々とした顔で立っていた。