敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~
彼もご一緒だったのね……!
「車、停められた?」
「ああ。少し離れた駐車場になってしまったが、歩けるか?」
「大丈夫よ。心配しすぎ」
ふたりが会話している姿は、周囲にハートマークがふわふわと舞っているように見えるくらい仲睦まじげだ。
私がお節介を焼く必要はなかったらしい。ふっとと肩の力を抜いて、ふたりに微笑みかける。
「ふたりとも元気そうでよかった。おめでたい結果になること、祈っているわね」
「ありがとうございます。美来様も、どうかお大事に」
「泉美さん、また〝様〟って」
「あぁっ、ごめんなさい……美来さんでした!」
ぺこりと頭を下げる彼女をクスクス笑って見つめていたら、清十郎さんが不意に私を見下ろし、神妙な表情になる。
「美来。お前はなんでも頑張りすぎるきらいがある。無理をするなよ」
言い方はぶっきらぼうだがどこか照れくさそうなので、これは彼の本音なのだろう。清十郎さんは、嘘や演技の方がよっぽど上手だから。