敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~

「よかった……」

 そう呟きながら【おめでとう】と打ち込んでいると、ちょうどシャワーを浴びていた叶多くんが寝室に入ってきた。

「なにかいいことでもあった?」
「泉美さん、やっぱりおめでただそうよ」

 スマホを枕元に置き、上半身を起こして答える。叶多くんもふたりの幸せに想いを馳せるように、やわらかく笑った。

「そうか。一度悲しい思いをしているふたりだから、今度は無事に赤ちゃんを迎えられるといいな。もちろん、俺たちも」

 ベッドにギシッと乗って近づいてきた彼が、布団をめくってパジャマの上から私のお腹を撫でる。

「大きいからパパの手だって、わかってるかな」
「そろそろ音も聞こえてるらしいわ。胎教を始めるのもだいたい今のうちからみたい」
「胎教か。クラシックでも聞かせる?」
「英語かスペイン語もいいかも」

 まだ生まれてもいない我が子のことを考え、夢を広げる。音楽家でも建築家でも、スポーツ選手でもいい。

 それとも、叶多くんみたいに外交官とか……。

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