敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~

「叶多くんはなにも食べなくていいの?」
「ああ。家で軽く食べてきた。スペイン人はランチを豪勢にするけど、俺はやっぱり日本の習慣が抜けなくてね。夕食をしっかり食べたい」
「スペインの食習慣って独特よね。朝軽いものを食べて、十時に軽い補食。お昼は十四時ごろからゆっくりとって、夕方にまた補食、夕食は遅い時間に少しだけ」

 スペインの夏は日が長く、日没が夜九時以降になることから、多い人で一日五食も食事するという独特の習慣がある。

 シエスタという昼寝文化もあり、実際に寝るわけではなくても、職場などの休憩時間が二時間程度、長めに確保されていたりもする。

「スペインに赴任したばかりの頃は昼休憩を長く取れるのかと少し期待したが、残念ながら大使館にそんな制度はなかったよ」
「忙しそうね……。貴重な休日を奪ってごめんなさい」
「謝るなよ。貴重な休日だからこそ、美来に会えてよかった。ほら、コーヒーが来たんじゃないか?」

 優しい言葉にほんのり頬が熱くなるのを感じつつ、叶多くんの目線を追う。するとウエイターがちょうどコーヒーとシナモンロールを運んできてくれたところだった。

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