敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない～最上愛に包まれ身ごもりました～
結婚式から間もなくして、第二子の妊娠が発覚した。
叶多くんは翌年まで本省勤務だったので出産は日本でできたけれど、その半年後にはアメリカのフロリダ州にある、在マイアミ日本国総領事館への転勤が決まった。
マイアミは中南米の玄関口とも言われ、アメリカの中でもヒスパニック系の移民が多い土地。
そこで、スペイン語と英語の両方にに長けている叶多くんに白羽の矢が立ったらしい。
五歳の翼、そして生後半年の娘・千星を連れての引っ越しには不安もあったけれど、私たちの中に家族が離れる選択はなかった。
マイアミの気候は年間を通して温暖で、雨期はスコールに気を付けなければならないが、基本的にはとても過ごしやすい。
美しいコバルトブルーのカリブ海に面したマイアミビーチのほか、巨大なショッピングモール、メジャーリーグのスタジアムなど観光施設にも事欠かない。
一方で治安の悪い地域もあるので、叶多くんからくれぐれも近づかないようにと、私も子どもたちも言い聞かされている。
しかし、子どもたちも成長し翼も小学生になると、自分の頭で色々と考え、小さな疑問を抱くようになった。
