敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~

「じゃあ決まりだ。荷物は一旦、俺の家に置けばいい。ここから近いんだ」
「なにからなにまでお世話になります」

 ぺこりと頭を下げて顔を上げると、叶多くんはなぜだか不満げな顔をしていた。

「その話し方、あまり恋人らしくないな」
「だってそれは、本物の関係じゃないわけだから……」
「そんなんじゃ、あの性格の悪そうな婚約者は騙せないぞ」
「そ、そうかしら……?」

 言われてみれば、清十郎さんはいつも旅館で接客しているから、人を観察する能力には長けていそうだ。

 私たちの関係が嘘だとバレたら、どんなひどい暴言を浴びせられるか……。

 想像しただけで寒気を覚えていると、叶多くんがふっと笑って私の肩を抱き、自分の方へ引き寄せる。オフショルダーのワンピースからむき出しの肩を大きな手で包み込まれて密着する体勢になり、かぁっと頬が熱くなる。

「叶多くん、これはいくらなんでも近すぎるんじゃ……!」
「これくらい、ラテンの国のカップルなら珍しくない」
「私たち、日本人同士ですけど……!?」
「細かいことを言うなよ。郷に入っては郷に従え、だ」

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