敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~
動揺をなだめつつ歩いているうちに、叶多くんの自宅マンションに到着する。マドリードの歴史ある街並みにも溶け込む、レトロ感のあるお洒落な外観だった。
彼の部屋は五階建ての最上階だそうだが、荷物を置いてすぐ出かけるので、私はロビーで待たせてもらう。
その間にスマホをチェックすると、父や清十郎さんからの追加連絡はなかったので、ホッと胸を撫で下ろした。
叶多くんが戻ってきたところで、トレド行きの高速鉄道に乗車するため、マドリード最大の鉄道駅、アトーチャ駅へタクシーで向かう。運転手とのやり取りも叶多くんがスムーズに進めてくれて、なんなく駅へ到着することができた。
ドーム型の屋根と時計台が印象的な入り口から構内に入り、自動券売機で切符を求める。
天井に各列車の出発時刻や行先を知らせる電光掲示板が掲げられているのは、日本の駅と同じ。
エスカレーターでふたつ下の階にあるホームに下り、新幹線に似た高速鉄道AVANTに乗り込んだ。