敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~
「¡Hola,guapa! ¿Estás sola?(やあ、美人のお姉さん! ひとり?)」
瞳と髪色、そして顎にたっぷり生やした髭もすべてダークブラウン。加えて彫りの深い顔立ちと流暢なスペイン語から推察するに、この辺りに住んでいる人だろうか。
「こんにちは。ええ、ひとりです」
スペイン語で返事をすると、ますます彼は笑みを深めた。
アジア人なのにスペイン語が話せる私に感激しているようだけれど……もしかして、これってナンパ?
曖昧な笑みで彼の出方を窺う。
「よかった。あっちに雰囲気のいいカフェがある。コーヒーご馳走するよ」
「今、ちょっと急いでいるんです」
「どこかへ行くの? コーヒーに付き合ってくれたら、車で送ってあげるよ」
「いえ、大丈夫です。ごめんなさい」
カフェはともかく、車に押し込まれるのはさすがに危険だろう。
なんとかこの場を切り抜けたくて、「Lo siento.(ごめんなさい)」を連呼する。
それでもあきらめる様子のない男性が、ぐっと私の手首を掴んだ。
「どうせこういうことを期待して、海外にひとり旅に来たんだろう?」
「ちょっと、やめてください……!」