敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~
「八束社長。美来さんを許してあげてください」
「なっ……きみまでなにを……!」
清十郎さんの優しい声音に、感情的だった心が落ち着きを取り戻す。
そう……いくら父が反対しようと、今回は清十郎さんもこちらの味方。許嫁の彼に結婚する気がなくなれば、いくら父だって強引にことを進めることはできない。
清十郎さんの存在を初めて頼もしく思い、その横顔に好意的な眼差しを向けた、そのとき。
「私は、美来さんが外で愛人を作っても構わないと思っています。彼女が妻になってくれるのなら、それ以上は望みません」
「え……?」
今、彼はなんて……?
聞こえてきた言葉が呑み込めず、ただ清十郎さんを見つめる。
呆気にとられる私と同様、父も驚きを隠せない様子だ。
「きみは許すと言うのか? このだらしない娘を」
「美来さんは私より三つも若いですから、結婚を窮屈に思う気持ちがあったのでしょう。その上、嫁ぎ先は伝統と格式を重んじる紫陽花楼。若女将としての仕事を任される前に、海外で思い切り遊びたくなった心情も理解できます」