敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~
スペインで言っていたこととはまるで違う言い分に、愕然とする。
あれは、私や叶多くんに自分を信用させるための嘘だったの……?
「だけど美来さん」
唐突に手を握られ、ビクッと肩が跳ねる。戸惑いながら見つめた清十郎さんがどこまでも静かな目をしていて、私にはそれがとても……とても怖かった。
「ひとりで海外に行くなんて危ない真似は、もうやめてほしい。空港できみの姿を見つけるまで、心配で気が気じゃなかったんだ。本当に無事でよかった」
清十郎さんは声を震わせながら話し、握った私の手を持ち上げ自分の頬にあてる。
一見、とても愛情深い言動に見える。けれどその裏側にある清十郎さんの本音はまったく逆なのではないかと思えて、背筋を冷たい汗が伝った。
すっかり安心しきった父は、帰ってきたばかりなのに『仕事に戻る』といって忙しなく家を出て行った。
清十郎さんと話がしたいが、リビングでは家政婦さんたちの目が合ったため、仕方なく彼を自室へ連れて行った。
「どういうつもりですか……?」