敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~

 部屋に入ってすぐ、彼を振り返って問いかけた。清十郎さんは遠慮する様子もなくベッドに腰を下ろし、足を組んで寛ぎ始めてから口を開く。

「どういうつもりって、当初の予定通りだ。俺はお前を妻にして、紫陽花楼を成長させる」
「他に好きな人がいる私とは、結婚したくないんじゃなかったんですか……?」

 彼が猫かぶりだというのは知っていたはずだったが、空港で叶多くんと対峙していた時の言動がまるっきり演技だったなら、彼は役者になれる。それほど、あの時の清十郎さんは本心を話しているように見えた。

「ばかばかしい。お前もあの男も、海外での火遊びで一時的に心が盛り上がっているだけだ。俺という許嫁の存在があるからこその罪悪感も、セックスのいいスパイスになったんじゃないか? 少しは感謝されたいね」
「なんてことを言うんですか……?」

 私と叶多くんが夜を共に過ごしたことを見透かされたことへの恥じらい、そして私たちの恋愛を遊びだと断じられた怒りで、頭にかぁっと血がのぼった。

 確かに、海外で偶然再会して舞い上がってしまったのも否定しない。でも、叶多くんにはそれ以前から惹かれていたのだ。

 一時的な気の迷いだなんて思われたくない。

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