敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~
机に乗ったパソコンの方を顎でしゃくり、どこまでも人を馬鹿にした態度を貫く清十郎さん。覗き見られていたのが旅行関連のメールだけではないとわかり、彼を軽蔑する気持ちが膨らんでいく。
「パソコンって、私の行き先を調べただけじゃなかったんですか……?」
「なにを驚いてる。あの馬鹿丸出しのパスワードでロックが解除された瞬間、俺はてっきり、どうぞ見てくださいと言われているんだと思ったよ」
「ひどい……」
別に、他人に見られて困るようなものがあるわけじゃない。だけど、ロックが解除できたからって中身をすべてひっくり返して覗き見るような真似をする人がそれほど存在するとは思えない。
彼の倫理観はいったいどうなっているのだろう。
心から彼に失望して言葉を発せずにいると、清十郎さんはギシッとベッドから立ち上がり、私の前に立った。
「いくらここで言い合っていても、俺の計画に変更はあり得ない。さらに、お前が一番助けを求めたい相手は遠い国のエリート外交官で、帰国は二カ月も先だ。……ご愁傷様」
最後のひと言を耳のそばで囁かれ、ぞくっと肌が粟立つ。思わず肩を竦めた私を面白がるように笑って、清十郎さんは部屋を後にした。