Rhapsody in Love 〜二人の休日〜



「言葉で言ってくれなきゃ、解らないこともあるのよ……?」


みのりの言葉に、遼太郎は唇を噛むばかりで、ためらった。
それでも、みのりにじっと見つめられると、遼太郎は心の中にあるものを隠しておけなくなって、


「……こんなにも……」


と、唇から言葉を零れさせた。


「……こんなにも、俺は先生のことが好きなのに、どうして先生はそれを……信じてくれないんですか……!」


みのりは頭の中が真っ白になった。遼太郎の思い込みを否定するよりも、戸惑いがみのりの中に押し寄せてくる。

みのりは遼太郎のすべてを、無条件で信じている。その言葉を信じないなんて、絶対にあり得ない。
だけど遼太郎は、さっきの車の中でもずっと、この思いを抱えて黙り込んでいたのだ。


きっと、みのりが告げたあの〝お願い〟が、遼太郎をこんな思考の深みに引きずり込んだに違いない。
どんな言葉で弁解すれば、すれ違った気持ちの向きが修正できるのだろう……。
だけど今は、どんな言葉も、遼太郎の心には届かないような気がした。


「……遼ちゃん……」


名前を呟くばかりで、何も言葉が出てこないみのりに、遼太郎は堰を切った思いが止められなかった。


< 120 / 311 >

この作品をシェア

pagetop