Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
遼太郎が達するとき、みのりも首を反らせて体を硬直させた。お互いに息を荒げる中で、みのりの遼太郎にしがみつく腕の力が抜け、動かなくなる。
遼太郎は、レースのカーテン越しに入ってくる街灯の明かりを頼りに、みのりの表情を確かめる。すると、腕の中にいるみのりは、気を失うように眠りに入っていた。
目元が涙で濡れている。みのりの顔をじっと見つめながら、遼太郎は両手の親指でその涙をいたわるようにぬぐい取った。
昨晩も遼太郎はみのりを眠らせなかった。みのりはそれから仕事に行って、それからドライブして山に登って……、みのりの体力を考えたら疲れていないわけがない。それなのに、激しい感情に任せて我を忘れて抱いてしまった。
感情の昂ぶりが幾分沈静した遼太郎は我に返り、ようやくそのことに気が付いた。気づいた瞬間に、いきなり深い後悔の奈落へ突き落される。
眠り込んで正体のないみのりの体を、遼太郎はまるで壊れ物のように抱きしめなおす。
「……すいません。……俺、先生になんてことを……」
抱きしめるみのりの髪に顔をうずめ、額をこすりつけながら、遼太郎は言葉を絞り出した。
遼太郎の目にも涙がにじんだ。自分を殴ってやりたくなるくらいの後悔と、自分でも耐えられなくなるくらいのみのりへの想い。それを自分の中でどう処理すればいいのか分からず、遼太郎は激しく動揺した。