Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
みのりが東京に来て、長谷川陽菜と三人で食事をした時にみのりが言っていた。
お見合いをしてプロポーズをされたと。相手はイケメンの新聞記者なんだと。
いきなり遼太郎は焦燥に突き上げられる。
その人物は、今の遼太郎が持ち得ていないものをすべて持っていた。
社会人としての生活の基盤や社会的なステータス、そしておそらく年齢も釣り合っていて、今すぐにでも結婚することができる条件を満たしている。
いくらみのりが自分のことを好きでいてくれても、みのりの年齢や境遇、周りからの圧力などから逃れられなくなって、お見合い相手と結婚せざる得なくなる可能性もないとは言えない。
遼太郎自身がお見合い相手と同じ年頃になった時、同じくらいの価値を築けているかもしれないけれど、そんな何年も先の希望を頼みにするのは心許なかった。
不自然に黙ってしまった遼太郎を不審に思って、俊次が様子を窺う。
その俊次の視線に気づくことなく、遼太郎は考えごとをしながらリュックを担ぐと、力ない足取りでリビングを出て行った。
「……なんだ、あれ。みのりちゃんの彼氏の話聞いて、やっぱりショック受けてるじゃんかよ」
俊次は呆れ顔で独り言すると、スマホを見ながら再びソファーに寝っ転がった。