Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
「……遼太郎くんの場合は、得意なことを増やして自分に自信を持ってもらいたかったからよ。勉強の仕方をちょっと教えてあげたら、日本史なんかこの学校でトップクラスになったのよ?」
「ふ——ん……」
俊次は自分から尋ねたのに、さも興味がなさそうな相づちを打った。その態度がみのりは気になってしまう。
「どうしたの?」
「俺、結局は兄ちゃんには敵わないのかな……って。だって、課題をさせるのと、自信を持たせるのって、次元が違いすぎるじゃん」
「敵うとか敵わないとか、比べなくていいじゃない。ラグビーでもバックスとフォワードとどっちがすごいとか比べられないでしょ?それと一緒よ」
「………」
俊次はたまにこうやって、遼太郎を引き合いに出していじけてしまう。遼太郎には遼太郎の苦悩があり、そこからの努力もあって切り拓けていったと、みのりは思うけれど、俊次にはそこが見えないらしい。兄のことを何でもできるスーパーマンのように思っているようなところがある。