Rhapsody in Love 〜二人の休日〜


「遼太郎くんは先を行く存在だから、俊次くんにとって偉大に見えるのかもしれないけど。あと4年たったら、俊次くんだってどうなってるか分かんないよ?大事なのはその時、自分で納得できる人になれてるかどうかだよね。そのために、〝今〟何ができるか、だよ?それを見極めるのは難しいけど、俊次くんのためなら私は何でも力になるからね」


こうやって言葉を尽くして励ましたり、気にかけてあげることが、遼太郎のいうところの〝手取り足取り〟になるのかもしれないけれど、こんな俊次を、みのりは放っておけなかった。

今よりももっと成長できるように心を砕いて協力してあげることは、遼太郎も俊次も関係なかった。教師としてのみのりの中では、どちらも大切な生徒に違いなかった。


こんなとき、遼太郎ならばみのりの言葉をそっと胸の中に仕舞って「分かりました」と、かわいい笑顔を見せてくれていた。しかし、俊次は黙ったまま唇を尖らせている。

その顔を見て、みのりは思わず笑ってしまった。


「さあ、今日はこの辺にしとこうか。この後、部活があるんでしょう?」


話題が変わって、俊次はちょっと表情を和ませる。

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