Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
「そういや、兄ちゃん。今年はまだ帰って来ないんだよね。長期の休みになると帰ってきて、部活にコーチをしに来るんだけど」
逆に、みのりはこの話題になって、鳩尾にヒュッと冷たいものが落ちてゆく。遼太郎はまだ2、3日はみのりのアパートにいるつもりのようだから、ちょっと後ろめたいような気持ちになる。
——俊次くんは、遼ちゃんにコーチしてもらいたいのかな……?
もし遼太郎が必要とされているのであれば、いつまでもアパートに引き留めておけないだろうと、みのりは思った。
「ま、兄ちゃんがコーチすると、ある意味江口先生より厳しいんだよね。だから、来ないんならそれでもいっかなー……なんて」
「へえ、遼太郎くんって、どんな風に厳しいの?」
俊次が語る遼太郎のことがもっと知りたくなって、みのりは俊次に問い返した。
「なんていうのかな?江口先生は言われた通りのことしてたらいいんだけど、兄ちゃんの場合は考えさせられるっていうか……、自分で考えて動いてないとダメっていうか……。どうしてそんなプレーをしたのかって、いちいち確認されるし……」
これを聞いて、みのりはとても嬉しい気持ちになった。