Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
「もう!遼ちゃん!!」
みのりは目の前にある遼太郎の鼻を軽く掴んで、遼太郎のからかいムードを無理やり終わらせた。
すると、遼太郎は反省するような表情を見せてから、すごく優しく微笑んでくれた。それに見惚れてしまうみのりは、そのまま遼太郎の胸に頬を寄せて抱きしめてもらいたくなる。
だけど、みのりはそんな想いを振り切って、手を動かし始めた。エアコンが効いているとはいえ、ずっと遼太郎を裸のままで居させておくわけにはいかない。
みのりは遼太郎の腕を取って、傷の状態を確かめる。
そのみのりの眼差し、長いまつ毛、くっきりとした二重の愛らしい目元。
遼太郎は間近にあるそれを、息を潜めるようにじっと見守った。
高校時代、学校の渡り廊下で頭を寄せ合って問題に取り組んでいた時のことを思い出した。あの時も今みたいに、すぐ近くにいるみのりの息遣いにドキドキと胸が高鳴っていた。
「痛い?」
右肘に負っている擦り傷に抗菌剤入りの軟骨を塗りながら、みのりが尋ねる。傷のあまりの痛々しさに、みのり自身の方が辛そうな表情だ。
「先生に手当てしてもらえたら、痛いのなんて吹っ飛びます」
遼太郎は心のままを偽ることなく表現した。心の底から溢れてくる幸せで、その笑顔を満たした。