Rhapsody in Love 〜二人の休日〜




遼太郎の言葉に、ピクリとみのりの体が硬くなった。
遼太郎の裸の胸に手をつくと、俯いてそこを抜け出す。顔を逸らしたままベッドまで行って、そこにうつ伏せに倒れ込んだ。


欲求が満たされなかったもどかしさと、欲求を聞き入れてもらえなかった恥ずかしさが相まって、遼太郎にどんな態度でどんな顔を向けたらいいのか分からなかった。


「……先生?怒ったんですか?」


心配そうに遼太郎が声をかけてきた。


「ううん、怒ってない」


みのりは布団に顔を埋めたまま、くぐもった声で答えた。

『怒ってない』と言いつつ、みのりの態度は明らかに拗ねていた。

思えば遼太郎の先生で年上のみのりは、いつも遼太郎のすべてを優しく受け入れてくれていた。こんなふうに拗ねてしまうことは、ほとんどなかった。

だからこそ、こんなみのりは遼太郎にとって新鮮で、とても可愛く感じてしまう。


とはいえ、ずっとこんなふうに拗ねさせておくのは、二人でいられる貴重な時間がもったいない。


「……先生?コーヒー淹れましょうか?」


と言ってみたものの、実のところ遼太郎は、〝そういう〟欲求を持ってくれたみのりを、どうやって宥めたらいいのか分からなかった。


「………」


遼太郎の試みは功を奏さず、みのりはいっこうに反応してくれない。


——うう…、けっこう手強いな……。


遼太郎は何と言えばいいのかも分からなくなり、ベッドの側に座ってみのりの様子を窺った。



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