Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
「お正月は私も忙しいの。実家がお寺だから手伝わなきゃいけないし。だから、行けたら行くくらいに思ってて?」
「へぇー、みのりちゃんの実家お寺なんだ。お正月も忙しいって、大変だね。みのりちゃん、休める時がないじゃん」
気遣ってくれる俊次の優しい気持ちに、みのりの心も嬉しくなって絆される。
「お気遣いありがとう。俊次くんも大分大人になったね」
「あ、そういう言い方自体が、子ども扱いしてるっての!」
俊次の切り返しに、みのりから思わず笑いが溢れ出てくる。みのりは笑いながら椅子から立ち上がったその時、長机の際に置いてあった俊次のペンケースを落としてしまった。
「あっ、ごめんね」
「もう、みのりちゃんの注意力も子ども並みだな」
そんなことを言いながら、二人で頭を突き合わせて散らばったものを拾い上げ、体を起こした瞬間、みのりの頭が俊次の胸へと引っ張られた。
「痛……っ!」
みのりの髪の毛のひと束が、俊次の学生服のボタンに絡まっていた。
「いたた…、俊次くん、引っ張らないで。ちょっと外すから」
「でも…これじゃ……」
『近すぎる』という思いは、突然の緊張のため言葉とすることが出来ず、俊次はただ棒立ちになる。