Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
愛も後輩のマネージャーと話し終わった後、俊次のいる場所を探した。
俊次は自分のロッカーに向かって何かを突っ込み、バタンと扉を閉めたところだった。愛の鳩尾の辺りに、キュッと切ない痛みが走った。
今日を逃せば、俊次とちゃんと話ができる機会はもうないかもしれない。何か言葉を交わして帰りたい……とは思うけれど、どんな言葉をかけるべきか……それが分からない。
愛は俊次の様子を窺いながら、それが不自然にならないように、鉄製のバスケットに入れられた汚れたラグビーボールを取り出し、それを拭き始める。
他の後輩と同じように、俊次の方から〝お礼〟を言いに来てくれたらいいのにと思ってみても、現実はそんな都合のいいことなんて起こってくれるわけがない。
現状を変えたければ、自分から勇気を出して動き出さなければ変わらない。
——みのりちゃんが彼氏に会いに行ったみたいに、私も勇気出さなきゃ……。
みのりに比べたら、どうってことはない。すぐそこにいる俊次に話しかけるだけだ。
だけどそれが、〝最後〟になるかもしれないと思うだけで、言葉を選んでしまってどうにも動けなくなる。
——ここで頑張らなきゃ、俊次がもう帰っちゃうよ……!
愛は意を決して、磨いていたボールを置いた。