Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
「……先輩も、大学で頑張って……ください」
普段は先輩に対しても敬意を表するどころかタメ口を利いていた俊次だったが、この時ばかりは取って付けたような敬語になった。
小山はしんみりするどころか、思わず笑いをこぼした。
「俺、大学じゃ、ラグビーやらねーから。あんなきつい練習、もうやらなくていいんだ!思いっきり大学生活を楽しむぞ〜!」
「……え?」
目が点になる俊次を脇目に、小山は荷物を担ぎ直す。
「それじゃ、またな!……?!」
小山は、まだそこに残っていた愛に気を止めた。いつの間にか部室の中に残っているのは。俊次と小山と愛だけになっていた。
「二俣も頑張れよ。まだ試験が残ってるんだよな?」
突然、自分の方に声をかけられて、愛は驚くように立ちすくんだ。
「……あ、うん。私は国立志望だから……。推薦で決まった人は、のんびりできていいね」
「はは!まあね。でも、ホント。試験頑張れよ!二俣だったら、絶対大丈夫!」
「うん、頑張るよ。ありがとう。小山くんも頑張ってね」
そんな会話が交わされて、小山も部室を出ていく。
そして、その部室の中には、俊次と愛だけが残された。
だけど、愛は俊次に対する言葉を見つけられなかった。
小山と同じような励ましを、愛は俊次にあげられない。あれは、一緒にしんどいトレーニングをし、一緒に試合で戦って気持ちを通じ合わせているからこそ、かけてあげられる言葉だった。