Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
——何時間かしたら帰ってくるんだから。その後はずっとここに居てくれるんだから。
みのりはそう思って気持ちを紛らわせようとしたけれど、遼太郎は明日の朝には居なくなってしまう。東京に発つ前に一度実家に帰るとなれば、早朝のうちにここを出ていかなければならない。
『一晩中』とは言っても、あと数時間しか一緒にいられない……。
その先には数ヶ月間の会えない時間が待ち構えている。
そのことを思うと、気持ちは紛れるどころかもっと泣きたくなってしまう。
——もともと、年末年始にも帰省しないかも…って思ってたんだから。そのくらい今が遼ちゃんにとって、いちばん大事な時なんだから。
みのりは懸命に自分に言い聞かせた。
就職活動は、本当に頑張ってほしいと思う。
何事も真摯に打ち込む遼太郎だからこそ、その努力が報われてほしい。遼太郎自身が納得できて、彼の能力をきちんと評価してくれる所に決まってほしいと思った。
——……やっぱり、東京で就職しようと思ってるのかな……?
思考がそこに至ると、みのりの胸がキュッと絞られて苦しくなった。
地元よりも東京の方が就職活動もしやすいし、希望する職種の就職口も見つけやすいだろう。
遼太郎が東京で働くようになると、今のような離れ離れの状態がずっと続くことになる。いや、今よりももっと忙しくなって、一年に一度くらいしか会えなくなるかもしれない。