Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
やるせない思いは、とうとう涙となってみのりの頬を伝った。遼太郎を愛しく想う分、涙は溢れて来てしまう。
「泣いちゃダメよ……。目が腫れると遼ちゃんが心配しちゃう……」
みのりは涙を飲み込んで、ティッシュに手を伸ばすとそれで目を押さえた。
この感情は自分自身でどうにかして、昇華しなければならないものだ。遼太郎の前で泣いて、この感情を打ち明けてしまったら、きっと遼太郎は自分のことを二の次にしてしまう。
「先の事ばかり考えて、くよくよしてたらダメよ」
この感情に捉われてばかりいたら、今目の前にある大事なことを見失ってしまう。
「とにかく今晩は、一緒にいられるんだから……」
今は、遼太郎と一緒にいられる貴重な時間を大切にしようと思った。
みのりは膝を抱えたまま、時計を見上げた。
〝二次会〟と言っても、普通の宴会の一次会が終わるのは、夜の九時くらいになるだろうか。
——あと三時間もあるじゃない……。
遼太郎の言う通りにゆっくり休んでいたら、ずっと悶々としてしまう。何かをして気を紛らわせなければ、三時間は長すぎる。
みのりは気を取り直して立ち上がり、自分のための夕食を作り始めた。
三時間が経った。
その間、みのりは夕食を作って食べ、それを片付けて、それからお風呂にも入った。パジャマの上からロングカーディガンを羽織り、何をするでもなく、居間にジッと座って遼太郎を待つ体制になる。