Rhapsody in Love 〜二人の休日〜




「と、とにかく、遼ちゃん。靴脱ごうか」


抱きしめられながら、みのりが遼太郎を諭す。しかし、遼太郎は聞こえていないのか、


「せんせー!!」


と、抱きしめたまま動こうとしないので、二俣が大きなため息をついた。


「ああ、もう!しょうがねえなぁ!!」


と言いながら、二俣は屈んで遼太郎の靴を脱がしてくれた。


遼太郎は二俣の存在はとっくに忘れてしまっているらしく、みのりの顔を両手で包んでジッと見つめた。


「先生?俺がいなくて、寂しかったですか?」


その優しい瞳、トロンとした表情を見て、みのりも思わず微笑んでしまう。


——わあ。遼ちゃんって、酔うとこんな感じなんだ。可愛いっ!


ついついそんなことを思っていると、


「んんんん!」


と、二俣の咳払いが聞こえた。


「あ、二俣くん。上がって、お茶でも飲んで行って?」


みのりのその誘いを聞いて、二俣は即座に首を左右に振った。


「とんでもない!こんなトコ居られねーよ!」


「え?」


「いや、悪い意味じゃなくて!タクシー待たせてっから、俺、もう行くわ」


「だったら、タクシー代渡すから、ちょっと待って」


そんな会話は耳に入っていない遼太郎が、もう一度みのりの顔を両手で挟み、同じ問いを繰り返す。


「先生。俺がいなくても……寂しくなかったんですか?」


「は?寂し……?」


遼太郎に気を取られているみのりに、二俣は言葉を続ける。



< 293 / 311 >

この作品をシェア

pagetop