Rhapsody in Love 〜二人の休日〜




「タクシー代はいいよ。それじゃあ、おやすみ!」


「えっ、帰るの?!あっ!ありがとね」


みのりが言い終わるのを待たずに、二俣はドアを開けた。


ドアが閉まるまでのわずかな時間、みのりが遼太郎の懐に潜り込むのが、二俣の目に入ってくる。


「うん。遼ちゃんがいなくて、寂しかった…」


パタンとドアが閉まる間際に、そんなみのりの声が漏れ聞こえてきた。


二俣の胸がドキリと反応する。この感覚が何なのかはっきりしなかったけれど、まるで自分が恋の当事者のようにドキドキしていた。


遼太郎があんな無防備に酔えたのも、心に巣食っていた哀しみが消え去ったからだ。あんな無邪気に甘えられるのも、心からお互いを想い合う正真正銘の恋人同士だからだ。


「……遼ちゃん、ホントに良かったな……」


二俣はポツリとつぶやくと、明かりの灯る通路を歩き始めた。正真正銘の友達としては、泣きたくなるくらい本当に嬉しかった。



遼太郎は聞きたかった答えを聞いて、嬉しそうにニッコリと微笑んだ。


「すっかり遅くなって、……すみません。もっと早く帰るつもりだったんですけど……」


と言う呂律(ろれつ)のなんとなく怪しいのが、みのりはますます可愛く感じて、自然と顔がほころんでしまう。


「先輩たちと楽しく過ごせたんでしょ?きっと先輩たちにも遼ちゃんの〝良いところ〟たくさん知ってもらえたと思うよ?」



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