Rhapsody in Love 〜二人の休日〜




みのりが耐えきれなくなって『もうダメ!』と思った時、幸いにもベッドの側で、そこに遼太郎もろとも(なだ)れ込んだ。


「こんなことなら、二俣くんに運んでもらっとけば良かった……」


ハアハア…と息を切らして、そんな独り言を言いながら遼太郎の下から抜け出す。

うつ伏せのまま眠ってしまった遼太郎からコートを剥ぎ取り、その体を押したり引っ張ったりして、なんとか真っ直ぐにする。
顔の下に枕を置いて背中に布団をかけると、みのりはようやくホッと息をついた。


スースー…と安らかな寝息が聞こえてくる。


「ふふ…よく眠ってる……」


その無防備な表情を、みのりは両肘をついてしみじみと見つめる。いくら見つめても飽きることはなく、何時間でも見ていられそうだった。

腕を伸ばして、遼太郎の鼻先をツンツンと(つつ)いてみる。起きる気配がないので、みのりはそっと顔を近づけて、その頬に口づけた。


キスに気づいて遼太郎がフッ…と目を覚まし、みのりを抱き寄せてくれる……のを期待したが、遼太郎はピクリとも動かなかった。

うっすらと安穏な笑みを浮かべ、相変わらずスヤスヤと眠ってる能天気な遼太郎を見て、ようやくみのりは、期待を胸にずっと待ち続けていたことが悔しくなってくる。


「起きてよ、遼ちゃん!……起きて!!」


みのりは遼太郎の背中に手を置いて揺さぶってみる。けれども遼太郎は、


「ぐ————……」


スヤスヤを通り越して、本格的に眠りに入ったようだ。



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