Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
二次会の次に無理やり連れて行かれて、先輩の隣でいろいろ話をしていた時までは憶えている。
話しながら目の前の飲み物を口に運んで、グラスが空くたびに先輩が気を利かせて注文してくれていた。
けれども、そこからいきなり記憶が途切れている。どうやら自分はけっこう飲める方で、一定量までは酔った気配も感じさせないが、それ以上飲んでしまうといきなり酔い潰れてしまうらしい。
遼太郎は、そう自己分析をした。
——記憶をなくすのは、やばいな。……気をつけよう。
思い返すと、こんなふうに酒を飲んだのも初めての経験だった。
大学のゼミの飲み会でも、ラグビースクールの懇親会でも、無意識に予防線を張り、自己制御をして飲んでいたのだろう。絶対に自分を見失うことはなかった。酔っ払う仲間を傍目に、自分は酔えない人間なのだとさえ思っていた。
——……でも、気分は良かったな……。
何も引っかかるものがなく心が晴れ渡っていたら、こんなにも気持ち良く酔えるものなのだと、遼太郎は初めて知った。
『気分が良い』と思えたのは、悪酔いもせず、一眠りして酔いがすっかり醒めているからかもしれない。
——何時かな?
遼太郎は頭を上げ、枕元のランプがほのかに照らす部屋の壁の時計を、目を凝らして確かめる。すると、三時に差し掛かっていた。
その時、ふと気がつく。
ベッドの大部分を占拠して寝そべっていた遼太郎の傍らで、みのりが小さくうずくまるように眠っていた。