Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
遼太郎は腕の中にいるそんな愛しい人の様子を、ジッと見守った。みのりの荒い息が穏やかなものになっても、ずっと見つめ続けた。
——離れたくない……!
遼太郎は眠りに就いたみのりを両腕でギュッと抱きしめて、その額に自分の頬を擦り寄せた。
今はこんなに近くにいるのに、離れて行かなければならないなんて……。この痛いほどの切なさを、自分の中でどうやったら収められるのだろう。
——東京で先生が帰る時、どうやって気持ちを整理したっけ……。
去って行くことが辛すぎて、居心地の良いこの場所にずっと留まっていたくなる。
……だけど、今のままでいられないのは分かっている。分かっているからこそ、今、動き出さなければ。
高校生の時、熱を出したみのりを送ってきて、この部屋に初めて入った時のことを思い出す。
あの時、すぐ側にいても、みのりは本当に遠い存在だった。みのりに早く追いつきたくて、みのり自身に励まされながら、遼太郎は必死に努力を重ねた。みのりが振り向いて、手を取って引き上げてくれるように〝恋人〟にしてくれてからも、みのりにふさわしい大人になれるように、ずっと努力は怠らなかったつもりだ。
全ては、みのりと共に歩める未来のために。
みのりも望むような未来のために、今までの努力の真価が問われていると言ってもいい。この正念場に、やれることは後悔しないようにやり尽くさなければならない。