Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
それから、遼太郎はみのりの枕元に膝をついて、みのりの顔を覗き込んだ。
安らかな寝息を聞いて、遼太郎の表情も穏やかに緩む。そして思わず……手紙には書けなかったその言葉を呟いた。
「……愛してます、先生……」
遼太郎はまるで王子が白雪姫にしたように、眠っているみのりの唇に口づけた。唇に伝わってくる柔らかい感触に、また胸がキュッと震える。
「行ってきます」
唇を離して、みのりの耳元で囁く。
「……ん……」
みのりの唇から微かな声が漏れ、起こしてしまったかと思ったが、みのりは再び規則的な寝息を立て始める。
遼太郎は名残を振り切って立ち上がった。
——次に芳野に戻ってくる時には、必ず何か結果を持ってくる……!
そう決意してリュックを担ぎ、忍び足で玄関へと向かった。
音がしないようにそっとドアを閉めると、ポケットから鍵を取り出して施錠する。
外に出た途端、身を切るような一月の冷気にさらされた。遼太郎は自分の呼気の白さに包まれながら、まだ薄暗い道を歩いた。
橋を渡る時、その真ん中で足を止めて、みのりのアパートの部屋を見遣った。